La place de l'ouverture  after words


 
 この話を書こうと思った理由
   元々のお題がTVさまの「確かなものを、手に入れたくなる季節」。今回の主人公は千秋です。彼
   が、のだめという確かなものを手に入れたとある冬のお話、という意味です。
   つまりはプロポーズ、ということですね。
   このお題は以前から見かけていて、でもそれぞれのお題が微妙に抽象的なものもあって話として
   確立出来てないような状況でした。
   でもコレほどまでお題として合うものもないだろう、と思った矢先、紫龍堂さまのお題を見つけたん
   ですね。
   この”始まりの場所”は紫龍堂さまのお題で成り立ってたようなものです。それぞれのキーワード
   があったから、ナントカ話として構成を立てられたというか。
   本当にお題に助けられたお話でした。
   紫龍堂さまの「生ある限り」というお題を見た途端に、千秋にこれを喋らせたいと思ったんですね。
   プロローグとエピローグは繋いで。本編はプロローグで寝入った千秋が見ていた夢(=過去)みた
   いな配置にしてます。
   「tutti」がのだめの成長、今回は千秋の成長というコトで。
   前半はともかく、ほとんどはTVさまのお題とも絡めてるんですよ。その箇所を見つけるのも楽しみ
   かとww

 千秋の計画
   何か”ベタ”なものが照れくさくて嫌う人なので、敢えてベタで(笑
   舞台上でのプロポーズとか。でも普通でそんなことはしない人だから、皆に「誓う」ためと理由を考
   えました。
   では、その理由を千秋が思った切っ掛けは?と考えたら、いつの間にかこんなにシリアスな展開
   に。
   考えてた中ではもっとシリアス寄りにするつもりだったんですけれどね。
   ライザーさんとのだめは本当に婚約するパターンまで来てたりとか。
   お題と話数の関係でおじゃんになりましたが。でも、採用したパターンで「泣きました」とおっしゃっ
   てくれた方もいて、すごく嬉しかったです。自分の書いた文章で誰かを笑わせられたり楽しくさせ
   られたり、泣かせられるのは書き手にとって最高の至福だと思います。
   あ、ちなみに千秋が簡易結婚式について本当に了承したのは舞台袖です。ウェディングドレスの
   のだめを見て「……いいかも」とか思った千秋です(苦笑

 全編で二人を繋ぐもの
   まずは「のだめラプソディ」ですね(笑 「tutti」でものだめラプソディに重きを置こうかな、とも思った
   のですが。
   「tutti」は向こうのあとがきでも書いたように、音楽が中心に回ってる話です。今回は千秋の精神
   的な成長を中心にしてるので。
   一般的でない曲を用いるには、こちらの方がいいと思いました。
   これまで父親の影や指揮者としての夢とか、”確かなもの”を掴もうとはせずに眼を背けるばかり
   だった千秋が、本当にのだめだけを欲して手を伸ばした。その間には常に「のだめラプソディ」。と
   いう甘い期待(ぉぃ
   あとは指輪。そして、その指輪の番である鍵ですね。
   千秋の心をかき乱す鍵。されど、それを手放すことは出来なくて。それが最後まで千秋の”弱さ”
   を象徴するものではありますが、千秋が言うように”弱さ”は怖れるものではない。恥じるものでは
   ない。
   人は弱くて、儚くて、そして脆いから独りでは生きていけない。だから、”弱さ”はその人の欠点で
   はない。
   それを千秋は学んでくれたんじゃないでしょうかね。

 二人の別れ
   これは最初から決めてたんですよ。でも其処にまで持って行く展開で、シリアス度が変わってたと
   いう。
   精神的ストレスにより耳が聞こえなくなる、つまりは指揮者として成り立たなくなる千秋に呼びか
   けるのだめ。
   でも彼には聞こえていなくて、のだめはそれを知らなくて。
   そんなすれ違いで道を違える二人を書きたかったんですね。それが、エピローグの
   「俺とあいつが出逢えたことが貴方の施した”運命”なのだとすれば、俺とあいつがともに歩むこと
   を選んだのもまた、”運命”だったのだろう。」
   という言葉に繋がるんですね。まぁぶっちゃけると「やっぱそう納まっちゃうのよね」ですよ(苦笑
   聴力が落ちていることを知らず自分とライザーの話題にも触れず、自分を引き上げるために息が
   切れてしまったのだと去る覚悟をするのだめと、のだめの寂しさや辛さを自分本位な理由で知ろう
   ともせずあまつさえ枷になるくらいなら消えようとする千秋。
   その間の架け橋になる黒木くんやライザー。
   それぞれの心情がきちんと表れていると良いのですが。

 峰と清良
   彼らは影の功労者ですよ(笑
   ついには峰は千秋に「親友」認定もらいますからね。おめでとう!
   彼らは何か真っ先に結婚しそうなものですが、悪い意味ではなく千秋とのだめがきちんとくっつか
   ないと行動を起こそうとはしないんじゃないかと思いました。
   千秋に義理立てしてる訳でもないんですが、何となく「千秋たちの次に」という意識があるような。
   そうこうしているうちに千秋は雲隠れ、のだめとは別れ、そんな雰囲気にならなくなってしまい。
   だから、最後は峰清+黒タニャ+ちあのだで「皆で幸せになりましょう」と。
   ……あぁ松田さんは……まぁ、いつか運命の出逢いが(酷ッ

 やっぱ最後に真打登場
   ミルヒーですよ。ミルヒーに惚れました。
   自分で書いてて何ですが、ドラマとかに比べて何かうちのミルヒーは凄ぇと。
   何か年の功みたいな貫禄付けてる!て感じ。
   時間の経過を書くため、ちゃっかり桃が丘の理事長を亡くなった設定にしています。
   のだめが誰にも頼らず(頼れず)、ライザーと共にいた二年間の背景にもオクレール先生が亡くなっ
   てることが関係してます。
   ……やっばい亡くなり過ぎですね。
   だからこそミルヒーは千秋を自家用ジェットで日本に放り出し「あとは頼みます」とかいう荒療治に
   出る訳ですが。



 
既出 : 2008 / 8 / 7
此処まで読んで下さり、有難うございました。
 


 

 
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